小麦産地概況 オレゴン州

オレゴン州地図

小麦生産一般

同州にて生産される小麦は、ソフト・ホワイト小麦(Soft White wheat)が主体であり、その作付け面積は全小麦作付け面積の凡そ95%強と言える。ソフト・ホワイト小麦の内クラブ小麦(Club wheat)は、年により多少作付け面積に振れが有るが凡そ6ポイント前後と言える。即ち、オレゴン州はコモン・ホワイト小麦の生産州と言える。

更に、秋に播種し翌年の夏に収穫される"冬小麦"と、春に播種を行い同年の夏に収穫する"春小麦"の割合を見ると、州全体の小麦作付け面積の凡そ81~85%は冬小麦(全てソフト小麦でありクラブ小麦を含む)であり、ソフトの春小麦の作付け面積は凡そ10-13%と言える。硬質赤色春小麦の作付け(Hard Red Spring wheat)も行われて居るが、全体の凡そ5%程度に過ぎない。

1990年以降小麦の作付け面積は減少して来ており、100万エーカーを下回り現在略90万エーカー程と成っている。平均単位収量は品種改良が進み、65ブッシェル/エーカー以上であるが、1960年産以降は20ブッシェル/エーカーそこそこであった。オレゴン州北中央部(North Central, District 4: ウィラー郡、フッドリバー郡、ワスコ郡、モロー郡、ギリアム郡、シャーマン郡、ウマティラ郡 )が小麦の主生産地帯であり、この地区の単位収量が略州平均の単位収量値となる。全州の小麦生産量は、凡そ5,300万ブッシェル(144万トン、1Bu ?36.7M/T)であるが、年により大きな振れが出る。例えば1999年産小麦は、主生産地での単位収量が冬季の異常低温と春小麦の開花期の高温・降水量不足等で単位収量が激減し(モロー郡34.5ブッシェル、シャーマン郡35.0ブッシェル、ウマティラ郡45.0ブッシェル/エーカー)、州全体の生産量は3,466万ブッシェル(94.4万トン)に止まった。北中央地区のウマティラ郡、モロー郡及びシャーマン郡の3郡(county)、3郡の合計小麦生産量は州全体の凡そ60%以上を占める。

オレゴン州の小麦生産農家戸数は、1997年のセンサスでは2,531戸となっており、内250エーカー以上の農家は758戸(全体の29.9%)である。尚、1997年の小麦作付け面積は955,000エーカーであり、1戸当りの平均作付け面積は377エーカーとなる。オレゴン州北中央地区の小麦主産地における小麦専業農家の作付け規模は、平均500エーカー以上である。


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品種

オレゴン州北中央地区、並びにワシントン州東中央地区及び南東地区では、1950年代は乾燥地向けのクラブ小麦(Club wheat、品種Elmar)が大量に作付けられていたが、草丈が高く倒伏し易くまた黒穂病に弱い品種であった。耐病性、耐倒伏性が大きな品種改良の要素でありワシントン州プルマン市の農事試験場及びオレゴン州立大学において小麦品種改良が精力的に進められた。その結果、コモン・ソフト・ホワイト冬小麦(Common Soft White Winter wheat)のBurt、クラブ小麦のOmar等がプルマン農事試験場から発表された。

1961年に初めての矮性(semidwarf)の品種、Gainsがプルマン農事試験場にて育成された。Gainsの発表と共にクラブ小麦の作付けは急激に減少して行った。Gainsの単位収量は灌漑ほ場では100ブッシェル以上を記録した。その後更に製粉歩留まりで改善された品種Nugainsが1965年に発表され、以後Nugainsがオレゴン州並びにワシントン州の中心品種となった。数年でオレゴン州の作付け面積の80%がGains/Nugainsで占められる状況であった。この品種の特徴である低水分での発芽勢の良さは、粒の枯熟後の休眠の浅さを意味する。即ち収穫期に降水又は露に合うと穂発芽をする可能性を持つ。1968年夏、収穫期の異常降雨は前代未聞の大事件となり、日本の小麦業界を震撼させたのである。1968年産の軟質白小麦には発芽粒(芽が数ミリも出た粒)が大量に発生し、低アミロ問題として一時日本の小麦買い入れの停止にまで発展した。その後品種改良は更に進み、Nugainsの改善種、Yamhillが発表され続きHyslop等がオレゴン州立大学の育種博士Dr. Warren Kronstadのチームにより発表された。現在Stephens(1977年発表、Nugainsからの改良品種。オレゴン農事試験場開発)が全作付け面積の凡そ45%を占めている。尚、クラブ小麦の中心品種はCodaである。

最近の動きとして、デュラム(Durum)小麦の栽培の試みである。ノース・ダコタ州並びにモンタナ州のデュラム小麦は春播きである。オレゴン州立大学のDr. Kronstadはチュニジアよりデュラム小麦の専門家Dr. Karim Ammarを迎えPendleton Flour Mill及び Quaker Oatsの資金援助をもって冬小麦のデュラム小麦の開発を1988年より開始した。パスタ用デュラム小麦では、蛋白質を最低13%含むことが絶対条件であり、高品質の品種開発が行われ、1998年に品種"Connie"が発表された。同年秋に同品種は5,000エーカーの作付けが行われたが、1998/99年冬季の異常低温の為殆ど全滅する結果となり、1999年秋には冬デュラム小麦の播種は皆無となっている。Winter Kill への抵抗性(耐寒性:Winter hardiness)と高蛋白が今後の課題である。但し、Dr. Kronstadが2000年に退職、そしてチュニジアから招かれていたDr. Ammarも2000年秋に帰国したこともあり、オレゴン州におけるデュラム小麦の研究は中断の状態である。更に、PNW地区のデユラム小麦栽培は、Federal Crop Insuranceの対象外であることも、今後のデュラム小麦の開発にマイナス要因と言えよう。


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気象

オレゴンの小麦主生産地の気象は、年降水量が年間合計10~16インチ(260~410mm)程度であり、極めて乾燥した気象条件である。4月から9月末迄の降水量は2~6インチであり、降雨は10月以降春先迄に集中する。モロー市(シャーマン郡)の年間平均降水量は11インチ、モルガン市(モロー郡)は8インチ、ペンデルトン市(ウマティラ郡)の年間降水量は凡そ14インチである。このような乾燥地帯での小麦生産は、必然的に降水量の如何により単位収量に大きな変化が生じる。耕作法は夏季休耕(summer fallow)を取り入れ、一年間の降水を保持したほ場に播種される。播種は9月中旬に開始され(降雨の開始が遅れると播種も遅れる)、11月初めに全州にて完了する。収穫は7月中旬が最盛期となる。9月15日頃に全州にて収穫は完了する。

小麦主産地である、カスケード山系の東部諸郡での無霜期間は凡そ160日~200日であり、晩春のKilling Frostはウマティラ郡で4月20日から5月7日、モロー郡では4月25日頃、シャーマン郡では4月28日から5月3日である。早秋最初のKilling Frost は10月5日から10月20日にかけて見られるが、高地では9月末に発生する事もある。同地区の一月の平均気温は、華氏28度から32度である。小麦地帯における冬季の降雪は少なく、Blue Mountains山麓の小麦ほ場にてSnow coverが見られる程度であり、多くのほ場が長期に亘り露出した状態にある。冬小麦は冬季の低温(凡そ50日から65日華氏37度から42度)を経て春化(生殖成長)する。

冬小麦はSnow coverが有れば華氏マイナス40度でも凍死することはないと言われる。又、冬小麦の幼苗(分蘖初期)は、華氏32~41度(摂氏0~5度)にある程度の期間遭遇すると耐寒性(winter hardiness)が形成されるとも言われる。


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PNW小麦生産地帯の土壌

オレゴン州の小麦生産の概要を述べたが、ここでPNW地区即ちオレゴン北中央地区、ワシントン東中央区並びに南東地区そしてアイダホ北部地区の土壌につき簡単に触れる事とする。

オレゴン州のシャーマン、ギリアム、モロー郡からワシントン州のワラワラ、ウイットマン郡、スポケーン郡にかけての土壌は、Chernozem soils と Chestnut soilsと称する土壌郡に属する。どちらも北米大陸の冷涼な草原地帯に見られる土壌である。

Blue Mountains沿いの北西の丘陵地帯はChernozem soils(海抜1,500~3,500フィート)に属し、この土壌はオレゴン州のウマテイラ郡、ワシントン州ウイットマン郡、スポケーン郡そしてアイダホ州北部ラター郡に至る土壌であり、かっては草原地帯であった。同土壌をパルース土壌とも称する。パルース土壌の西側に沿う形でChestnut soilsの帯びが存在する。即ちオレゴン州のシャーマン、ギリアム、モロー郡、ワシントン州ワラワラ郡及び東中央地区のアダムス、リンカーン郡等コロンビア・ベイスン(Columbia Basin)の乾燥地帯の土壌であり、一部アイダホ州南西地区にも存在する。この土壌をワラワラ土壌とも称し、海抜ではChernozem soilsより幾分低い地帯(1,000~2,000フィート)に存在する。尚、アイダホ北部の主たる土壌はアメリカ中央部のコーン地帯の土壌と同じPrairie soilsに属する。

これら土壌の表土は3~6フィートの深さである。Chenozem soilsは黒色から暗灰色を呈し、Prairie soils は暗褐色である。Chestnut soilsは暗褐色であるが、Prairie soils程ではなく土中3フィート程よりライム(石灰)を含む。肥沃度はPrairie soilsが一番高いが、Chenozem soilsは灌漑することで極めて高い生産力を示す。Chestnut soilsも同様である。PNW地区の小麦地帯では、表土の水分とSub-soilの水分を確保するため夏季休耕を行うが、休耕地の表土は機械的に細かく粉砕されている。微細な土壌粒子に水分の粒子が付着し、水分が確保されるのである。

尚、モンタナ州北中央部、同東部からノース・ダコタ中央部迄はChestnut soils地帯であり、ノース・ダコタの東部はChenozem soilsに属す。更に、カンサス州西部の小麦地帯はChesnut soilsに属し、中央部はChenozem soils, そして東部はPrairie soilsとなる。


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