小麦産地概況 アイダホ州

アイダホ州地図

小麦生産一般

アメリカの軟質白小麦(Soft White wheat)の主産地がPacific Northwest(PNW)であることは既に触れたが、このPNW地区とは、ワシントン州、オレゴン州そしてアイダホ州の3州を指す。アイダホ州の農業地帯区分は、北部地区(地区番号 10番、8郡を含む)、南西地区(地区番号70番、8郡)、南中央郡(地区番号80番、8郡)、そしてモンタナ州と隣接する東地区(地区番号90番、15郡)から成る。

アイダホ州の東地区での小麦作付けは、2001年には595,000エーカーとなっており、全州の作付け面積(1,280,000エーカー)の44.1%であり、地区的には北部地区の435,000エーカー(対全州33.9%)を上回り第一位である。作付け銘柄は、軟質白小麦(Soft White Winter 及びSpring wheat)、硬質赤色冬小麦(Hard Red Winter wheat)、硬質春小麦(Hard Red Spring wheat)が夫々41%、20%、34%であり、残りが硬質白小麦と多様である。西海岸からの小麦の輸出と言う点から見ると、軟質白小麦では同州の北部産、硬質赤冬小麦ではモンタナ産、硬質赤春小麦ではモンタナ産及びノースダコタ産となり、アイダホ東部の小麦は輸出では歴史的に補助的な存在である。

軟質白小麦の作付けの中心は、アイダホ州北部地区であり地質的にはワシントン州のパルース地区の続きと言える。主要生産郡(county)は、ネッツ・パース(Nez Perce)郡、ラター(Latah)郡、ルイス(Kewis)郡であり、3郡の合計で同地区の66%を占める。同地区の小麦生産地帯の年間降水量は20~28インチと多く、同地区では殆ど灌漑ほ場は存在しない。北部地区の東側、即ちモンタナ州寄りは山岳地帯となり、小麦の生産は殆ど行われていない。小麦栽培はワシントン州沿いの郡に集中している。尚、州南西地区では同地区の小麦作付け面積の95%、南中央地区では85%が灌漑ほ場となっている。

北部地区の小麦の凡そ76%(作付け面積)が冬小麦であり、内88.5%がコモン・ソフト・ホワイト小麦(Common Soft White wheat)である。
南西地区の小麦生産は少なく、2001年の全地区の作付け面積は76,000エーカーで規模は北部地区の4分の1未満である。冬小麦のソフト・ホワイト小麦が77%作付けられている。南中央地区では、2001年には126,000エーカーの作付けであり、冬小麦と春小麦が略半々と言える。ソフト・ホワイト小麦(冬及び春小麦合わせ)は全体の66%程度となる。残りは硬質小麦の栽培が行われている。

同州における小麦生産量は、2000年産において全州で108,450,000ブッシェル(398万トン)であったが、この内PNW小麦(北部、南西及び南中央地区)としては6,570万ブッシェル(約241万トン)である。2000年産小麦の単位収量は、北部地区で平均77ブッシェル/エーカー、南西地区で114.5ブッシェル/エーカー、そして南中央地区では103.0ブッシェル/エーカーと、PNW地区では最も単位収量が高い。その一番の理由は、北部では小麦栽培に十分なだけの年降水量が有り、南西並びに南中央部では小麦ほ場が殆ど灌漑されている事に因る。南中央地区の灌漑ほ場のエーカー当たり平均単位終了は111.0ブッシェルであるのに対し、非灌漑ほ場の平均収量は30.0ブッシェルであった。北部地区では99%が非灌漑ほ場であり、南西地区では95%、南中央地区では90%が灌漑ほ場となっている。


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品種

ソフト・ホワイト小麦の品種を見ると、北部地区では冬小麦のMadsen(1987年育成。3州共同開発。ワシントン州でも主力新種で、パルース地区では同品種の作付け面積は90%以上。)で、冬小麦の約40%を占める。南西地区並びに南中央地区のソフト・ホワイト小麦の中心品種は、冬小麦のStephens(オレゴン州北中央部の中心新種)となっている。春播きのソフト・ホワイト小麦はPenawawa(1985年にPullmanの農事試験場にて育成された、矮性(semidwarf)品種。一般のさび病に強いが黒穂病に弱い)で、主に南中央地区で栽培されている。ハード・レッドスプリング小麦は北部地区と南中央地区で多少作付けられている。品種はWesbred926(矮性品種、1987年に育成。モンタナ州北西部で多少作付けられている)。


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気象

アイダホ州の小麦の作付け形態を見る時、先ず地区毎の気象の特徴を掴む必要がある。 主産地である北部地区は、土壌はワシントン州東南地区と同様の肥沃な地質であり、地形も穏やかな丘陵地帯である。年間降水量はモスコウ市(タラー郡)辺りは21インチ強、同地区の北部及び東部に向かい降水量は増える。モスコウ市から南に向かうと降水量は減少し、ルイストン市(ネッツ・パース郡)の平均年間降水量は13.3インチ、南西地区で最も小麦の作付けの多いキャニオン郡の平均年間雨量は、8~9インチと極めて少ない。ボイシ市(アベ郡)では12.5インチとなっている。

アイダホ州の北部地区の冬小麦の播種は9月8日頃から始まり、9月22日から10月13日が最盛期となる。播種は10月30日頃完了する。収穫は7月23日頃開始し、最盛期は8月初めから8月25日頃で、9月14日頃完了する。

南中央地区並びに南西地区の年間降水量は極めて少なく(10インチ未満)、灌漑により小麦栽培が行われている。播種は南西地区では、例年他の地区より多少遅くれて始まり、完了は11月に入る。収穫開始は7月下旬となり完了は9月中旬。南中央地区の播種開始は、平年9月6日頃であり、9月20日から10月10日に最盛期となる。収穫は7月20日頃から始まり8月4日頃から9月20日頃に最盛期となり、9月10日頃に完了する。

春小麦の作付けは、北部地区以外では灌漑ほ場での栽培である。播種は平年3月21日頃に開始され、4月7日から5月3日に最盛期を迎え、5月26日までに完了する。平年では収穫は8月4日頃開始され、8月13日から9月8日が最盛期となる。完了は9月29日頃である。

Killing Frostの無い生育期間は、北部地区で140日から180日、南西地区では160日から200日、南中央地区は120日から140日となっている。北部小麦生産地区の一月の平均気温は、華氏28度から30度、南西地区並びに南部中央地区は更に気温は低く、華氏26度から28度である。春のKilling Frostの発生状況を見ると、北部諸郡では4月30日から5月10日頃に集中しており、南西地区から南中央地区では5月10日から5月30日頃と成っている。南西並びに南中央地区はこのような気象条件より、灌漑による春小麦の作付けが主体と成っている。

冬小麦の主産地である北部地区の諸郡での冬季の降雪量は凡そ16インチ程であり、降水量にすると1月から3月の月平均は凡そ1.1インチ(ネッツ・パース郡)から2.5インチ(ラター郡)、冬小麦のほ場は雪で覆われる。


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