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カリフォルニア米事情

目次

序文


第一章 アメリカの米
1. アメリカ産米の種類と米の統計等で使用される単位
   1.1 米の種類
   1.2 単位

2.アメリカの米栽培の歴史

第二章 カリフォルニアの米産業
1.稲作地帯

2.作付面積及び収量

3.品種
   3.1品種命名法
   3.2 Foundation Seed Program
   3.3品種改良の方向
   3.4品種説明
      3.4.1短粒種
      3.4.2中粒種
      3.4.3長粒種
      3.4.4新品種
   3.5カリフォルニアの日本品種の動向
   3.6米の遺伝子組換え品種

4. 米の栽培工程
   4.1圃場整備
   4.2播種
   4.3雑草・害虫・肥培管理
   4.4収穫

5. 精米及び流通
   5.1精米能力
   5.2日本向け米のシッパー

6.カリフォルニア米積み出し港事情
   6.1 サクラメント港(Port of Sacramento, West Sacramento)
      6.1.1米荷役関連施設
      6.1.2袋詰めMA米の本船荷役
   6.2ストックトン港 (Port of Stockton, Stockton)
   6.2.1 2000年より使用されている施設
      6.2.2袋詰めMA米の本船荷役


第三章 アメリカにおける米の輸出検査

1.日本向け米の輸出検査
1.1一般検査
1.2本船船倉検査及び本船荷役立会い
1.3ロット(荷口)の同一性保持の確認検査(Identity Preserved Inspection)

2.OMICのアメリカにおける残留農薬検査等
2.1安全性検査
2.1.1積地安全性検査用サンプルの採取
2.1.2積地安全性検査
2.1.3着地安全性検査
2.2特殊検査
2.2.1品種鑑定及び品種証明
2.2.2年産証明
2.2.3その他

3. 米の規格・基準

第四章米産業に関連する諸団体
1.USA Rice Federation
2.Rice Millers' Association (RMA)
3.California Rice Commission
4.California Cooperative Rice Research Foundation, Inc. (CCRRF)
5.California Rice Research Board (CRRB第五章 日本のミニマム アクセス米輸入

第六章1996年農業法


参考資料 リスト

添付資料 (Figures & Tables)

お問合せ

序文

アメリカ合衆国・国勢調査局(US Census Bureau)の2004年3月の発表によると、世界人口は1999年6月に60億を突破したという。1989-90年の1年間で8,700万人の人口増加をピークにその増加速度は鈍化しているものの、今後も人口増加は続き2048年には世界人口は90億人に達すると推定している。穀物は、増加し続ける世界人口を支える重要なエネルギー源であるが、その穀物の中で「こめ」は歴史的にアジアを中心として世界人口の半分以上の人々により主たるエネルギー源として消費されている。

世界の米の年間生産量は、籾ベースで凡そ6億トンであり、精米ベースにすると約4億トン(Table 2)となる。籾の生産量は世界の小麦生産量に略匹敵する。米の国際取引量を見ると、年間凡そ2,672万トン(2001年から2004年の4ヵ年平均、Table 3)であり、精米ベースの生産量の7%弱に過ぎず、米は主たる生産国でその多くが国内消費されていると言える。

米を世界に供給している諸国を見ると,首位にタイ(2001〜2004年4年平均811万トン、Table 3)そして2002年に665万トンを輸出したインド(同期平均404万トン)が2番手に位置し、次のベトナム(同期平均371万トン)に続きアメリカ(同期4年平均:319 万トン)が第4位となっている。中国は世界第一位そしてインドは第二位の米の生産国であり、これら2カ国で世界の年間米生産量の約52.3%を生産している(Table 4)。尚、アメリカは、米生産量では世界の米生産量の1.8%程を占めるに過ぎないが、米の輸出では世界の取引量の約10〜14%を確保する主要輸出国である。アメリカの年間米輸出量を凡そ300万トン(精米ベース)とすると、生産量のほぼ半分を輸出している事になる。アメリカの米は、灌漑された大圃場を基盤とし、大型機械を駆使した資本装備型の農業に依り、商品として販売又は輸出するが為に生産されている。この点は、数千年の稲作の歴史を持ち自国の食糧エネルギー源として米を生産してきたアジア諸国の稲作とは基本的に異なる点であろう。

第一章 アメリカの米

1. アメリカ産米の種類と米の統計等で使用される単位

アメリカの米に関する統計及び資料等で示されている米の種類(粒のタイプ)、並びに使用される単位について簡単に触れることとする。

1.1 米の種類

アメリカの米は、その粒長と粒幅の比率(粒長/粒幅)より長粒、中粒及び短粒の3種類に分類され、合衆国穀物検査局(Federal Grain Inspection Service = FGIS)により、籾(Rough Rice)、玄米(Brown Rice)、精米(Milled Rice)について、夫々長粒種、中粒種、短粒種の粒長/粒幅比率が下表の通り定められている。

粒長/粒幅比
  Long Grain
(長粒種)
Medium Grain
(中粒種)
Short Grain
(短粒種)
3.4以上 2.3以上3.3以下 2.2以下
玄米 3.1以上 2.1以上3.0以下 2.0以下
精米 3.0以上 2.0以上2.9以下 1.9以下

上記の分類(長、中、短粒)を合衆国の米の規格・基準(U.S. Standards for Rice)ではタイプ(Type)と称しているが、農務省の統計ではクラス(Class)と表示されている。尚、籾はPaddyとも称されるが農務省の統計表では通常Rough Riceと表示される。

1.2 単位(Table 1

米の生産量、消費量、在庫量等の単位はポンド(lb.)表示であり、作付け並びに収穫面積はエーカー(acre)である。収穫量等の表示では一般に100ポンドを一単位としてCWT(Hundred Weight)にて表示される。1CWTは0.04536M/T。統計表では、生産量、在庫量は籾ベースで表示され、消費量も籾ベースに換算されている場合が多い。国際貿易量(取引量)は精米ベースで表示されている。

   換算例:
   1エーカー = 0.40469ヘクタール
   1ポンド   = 0.454キログラム
   1CWT      = 0.04536 M/T
   1M/T      = 2204.6ポンド 

2.アメリカの米栽培の歴史

アメリカでの商業的な稲作は、1685年サウスカロライナにて当時の植民者の手により始められたといわれる。通説では、サウスカロライナの稲作は、嵐によりチャールストン港に避難してきたマダガスカルからの船の船長より植民者に贈られた一袋の種籾に始まるとのこと。サウスカロライナの低湿地の多い東部沿岸地方は、他の作物には不向きであったが稲作に適しているとし、米が当時の植民地作物として選ばれたといえる。1600年代の終わりにはチャールストン港より米の輸出がされるまでとなった。そして1726年には4,500トンの米がチャールストン港よりイギリス向けに輸出されたという。その後稲作は徐々に東部沿岸諸州に広がっていった。

ルイジアナ州での米の生産は1718年より、フランスからの植民者により始められたとされるが、サウスカロライナの稲作の目的と異なり、主に低所得の農民又は労働者の食糧生産が目的で始まったという。しかし1850年頃蒸気エンジンを利用しての大型ポンプの導入により広範な灌漑が可能と成った事、又1884年同州南西部平原で小麦やトウモロコシ用の大型の農業機械を導入した新しい稲作が開発された事等で、同州の小規模で労働集約的な稲作は、機械化された大規模な商業的農業へと急速に転身して行った。1880年代に入りこの商業的稲作はテキサス州(ボーモントの西)へと広がっていった。

現在全米第一位の生産高を上げている(全国生産高の約45%以上を生産する。)アーカンソー州の稲作は1902年に始まったという。同州の稲作は、当初より米を商品として生産する事を目的としたもので、広大な土地に大型機械を取り入れた、資本整備型農業であった。1900年代に入り、品種改良及び稲作技術の研究が進む一方、精米業界、生産者等が協会を結成する等、アメリカの米産業は急速に組織化された産業として成長していった。

1850年代当時のカリフォルニアには、ゴールドラッシュや鉄道建設の労働者として移住して来ていた中国人が4〜5万人住んで居たという。その後も東洋系移民者は増加し、彼らの食糧として1870年代〜1880年代には2万トン前後の米が毎年輸入されていたという。この様な当時の事情を背景に、稲作への取り組みは1870年頃より何度か試みられた模様であるが、成功しなかった。1906年に農務省土壌調査局(Bureau of Soils Survey)の技術者によるサンフォアキン平野での稲作試験に続き、1908年には官民共同でサクラメント平原の黒色重粘土質土壌に長粒種に加え日系の品種(渡り船、神力等で一般に九州米と称された品種)の作付け試験が開始された。稲作試験はその後も繰り返し実施され、日系の短粒種の成績が良好であることが確認されるに至った。1912年にビッグスとリッチヴェルの町を中心に18の農場が、初めて商業目的として米(主に日系の短粒種)の栽培を実施した。作付面積は、合計1,295エーカーであったという。此れを契機にカリフォルニアは、ジャポニカ系の短粒種米の生産州として急速に発展していった。品種改良が進むに連れ1955〜60年を境にそれまで凡そ98%を占めていた短粒種の作付けが急激に減少し、代わりに高単位収量の中粒種の栽培が増加していった。現在カリフォルニアでは、サクラメント平野を中心に凡そ50万エーカー強の土地に米が作付けられている。その作付面積の90%以上の圃場に中粒種が作付けられている。

1685年にサウスカロライナで始まった商業的稲作は、200年後にはルイジアナ南西部やテキサスへと広がり、更にアーカンソー等の平坦で広大な土地における大型機械を投入しての稲作へと進展している。1912年に西海岸のカリフォルニアが加わり、新たな米生産地域が形成されて行った。一方、1900年に入りサウスカロライナ等の東部沿岸諸州での多大な労働力を投入しての稲作は、市場競争に負け急激に姿を消して行った。1960年代に入ると、米の主要生産州は、アーカンソー、カリフォルニア、ルイジアナ、テキサス、ミシシッピーそしてミズーリー等に限定され、今日に至っている。

農務省の統計では03/04年度の国民1人当たりの年間精米消費量(アメリカ領諸国を除く。)は凡そ26ポンド(11.79 kg)となっており、過去20数年で消費量は倍以上に増加している(Table 5)。2000年代に入り、消費増加は年0.3ポンドとなり、80年代の年1ポンド、90年代の年0.5ポンドに比べるとその伸びは鈍化しているものの、アメリカ人の食に対する健康志向の強まり、アジア系・ヒスパニック系の人口増加等を背景に、今後も国内消費の増加が期待されている。

第二章 カリフォルニアの米産業

1.稲作地帯

カリフォルニア州は北アメリカの西海岸に位置し、南北に凡そ1500km(北緯32度から42度)、東西に300〜400kmの縦に細長く伸びている州である。面積は約40万平方キロで日本の約1.1倍の広さとなる。北はオレゴン州との境にカスケード山脈、東のネバタ州との州境にはシエラネバタ山脈(標高3600〜4400m)そして西側には標高1000〜1200mの海岸山脈を有する。又、ほぼ州の中央部には東西にテハチャピ山脈が走り、これらの山脈に囲まれた地帯に広大な中央平原が南北に800km、東西に約250kmの幅で広がっている。この中央平原の北部にはカスケード山脈に水源を持ち北から南に流れるサクラメント川、平原南部にはシアラネバタに水源を持つサンフォアキン川が北から南に流れ、平原のほぼ中央で合流し、向きを西に向けサンフランシスコ湾に流れ出ている。サクラメント川流域をサクラメント平野、サンフォアキン川流域をサンフォアキン平野、合流部はデルタ地帯と呼ばれている。この中央平原が世界有数の農業地帯となっており、そしてサクラメント川流とその支流流域が稲作の中心地帯となっている。

カリフォルニア州にて生産される米の90%以上の作付けは、サクラメント平野にて行われており、一部がサンフォアキン平野北部にて作付けられている。サクラメント平野の主たる米生産郡は、カルゥサ郡(Colusa county)、ビュッテ郡(Butte county)、グレン郡(Glenn county)、サッター郡(Sutter county)、ユバ郡(Yuba county)、ヨロー郡(Yolo county)、プレサー郡(Placer county)、サクラメント郡(Sacramento county)、そしてテハマ郡(Tehama county)である。これらの郡の内カルゥサ郡、ビュッテ郡そしてグレン郡が中心地であり、3郡の合計作付面積は全州の凡そ70%となる。

サクラメント平野の年間降雨量は、平野北部では約26インチ(660mm)平野南部では18インチ(約450mm)程度であり、極めて乾燥した地帯と言え、その降雨は晩秋から初春に集中している。平野北部及び北東部の山岳地帯には、冬季に多量の降雪がある。冬の降雨と山岳地方の春先の雪解け水がサクラメント平野の灌漑用水の主たる水源となる。4月中旬から10月上旬には大陸内部から張り出してくる高気圧のため、内陸の暖かい乾燥した空気が平原内部に流れ込み、サクラメント平野は殆ど降雨の無い、乾燥した温暖な季節を迎える。春から秋に掛けてのこのような乾燥・温暖な気象条件は、水さえ確保できれば稲作には極めて適した気象条件といえる。サクラメント川とその支流フェザー川(シエラネバタ山脈に水源を持つ。)流域の土壌は、粘土を25〜75%含む黒色重粘土質土壌であり、保水性が強く一般作物には敬遠されるが稲作には良い条件となる。恵まれた気象及び土壌条件そして水利の良さが、サクラメント川とその支流流域を大稲作地帯として発展させたといえる。

参考資料としてUS Cooperative Extension , University of California, Davis.CAのホームページがある。

2.作付面積及び収量Table 6Table 7

カリフォルニア州における米の作付け規模は、気象条件そして国内外の市場環境等で毎年振れがあるが、過去数年間略50万エーカーの作付面積で推移して来ている。農務省の統計によると2004年(03/04年産)のカリフォルニア米の作付面積は合計59.5万エーカー(約24.0万ha)となっており、アーカンソー州の156.1万エーカーに次ぐ第2位である。ルイジアナ州は53.8万エーカーで全米第3位となっている。カリフォルニア州が他米生産州と異なるのは、全作付けの90%以上に中粒種が作付けられている点である。短粒種の作付けは2001年産で2.5万エーカーであったが、3年連続で増加し2004年産は4.8万エーカー(全体の8.1%)となっている。2004年産の中粒種の作付けは54.0万エーカーとなっている。農務省農業統計局によると、2005年(2004/05年産)のカリフォルニア州における米の作付面積は51.1万エーカー(前年産の14%減)としており、その内中粒種の作付け面積を45.0万エーカー(約88.0%)と発表している。短粒種の作付面積は前年比8%増の5.2万エーカーとなっている。2004/05年産米の全米作付面積は336.5万エーカーと農務省は発表しており、内長粒は前年比で6%増の274.5万エーカー、中/短粒種は合わせて62.0万エーカー(19%減)としている。カリフォルニア米の州平均単位収量(籾ベース)は、1950年代迄はエーカー当たり略2,500〜3,000ポンド(2,800kg〜3,360kg/ha)であった。それが1965年には4,500ポンド/エーカーに達し、1970年代後半に5,000ポンドを超え、1980年代に入り6,000〜7,000ポンドへと伸びている。そして1990年代には8,000ポンド以上(2004年に8,600ポンド)を記録するに至った。この様な単位収量の飛躍的な伸びは、品種改良を含め次の様なカリフォルニア稲作における技術発展の結果であるといわれる。

  1. 1950年代になりアンモニア態のNの土中への注入をも含め、N肥料の効果的な施肥管理(施肥の時期、施肥量等)が普及。
  2. 1950年代から1960年代に掛け除草剤による雑草(広葉種の雑草そして野生ヒエ類)駆除が普及。
  3. 1970年代後半になり、レイザー光線を利用しての整地法が普及し、圃場の均平精度が極めて向上した事より、生育状況と気温変化に合わせた入念な水管理が可能となる。
  4. 1970年後半から1980年後半にかけ多収性の矮性(短稈)・早生品種が普及。

カリフォルニア米の単位収量は、常に全米第一を誇っており、前述の2004年全州平均8,600ポンド/エーカー(籾:9,640kg/ha)は、第二位のアーカンソー州の6,910ポンド/エーカーに1,690ポンドの差を付けている。(Table 7)。

籾生産量を見ると、2004年が50,759,000CWT(約230万トン、全米生産量の22%)であり、天候不順のため収穫量の少なかった2003年産比では30%増となっっている。

3.品種(Table 8-1, 8-2, 8-3, 8-4)

サクラメント平野における商業的稲作が、同平野の気象及び土壌等の条件より日系短粒種(渡船、神力等)を導入する事で成功して以来、同州は短粒種米の生産州として発展した。1921年に日系の早生「渡船」より選択育種された短粒種Caloroが発表され、以後日系品種に代わりCaloroはカリフォルニアの主力作付け品種となった。1948年にCaloroを親とするJaponicaタイプの多収性中粒種Calrose(中生、長稈)が育成され、短粒種に代わり多収性の中粒種の作付けが徐々に普及していった。これらの品種は、1912年にビッグス市郊外に設立されたRice Experiment Stationにおいて、農務省及びカリフォルニア大学の専門家による共同研究の結果生まれた品種である。現在、Rice Experiment Stationの運営は、1952年に発足したカリフォルニア州の米生産農家を主たるメンバーとするカリフォルニア協同米研究財団法人(California Cooperative Rice Research Foundation, Inc.以下CCRRFという。)により行われ、品種改良に関する研究資金は、1969年より米生産農家自身が供出する賦課金(売却籾に対して賦課される。)により賄われている。

1970年に入り品種改良の方向は、長稈・晩生から多収性の矮性(短稈)・早生品種へと移行し、さらに国内外の消費市場を意識した品種(高品質・良食味のプレミアム米)の開発も精力的に進められて来た。研究資金が豊富となった1969年以降30年間に、Rice Experiment Stationにより育成されCCRRFより発表された品種は39種を数えるという。そして、現在カリフォルニア州の米作付面積の90%以上に中粒種の多収性品種が作付けられている。

品種名 種類 公開年 品種名 種類 公開年
CS-M3 - 1970 CS-S4 - 1972
S6 S 1975 M5 M 1975
Calrose 76 - 1977 M7 M 1978
M9 M 1978 L-201 L 1979
Calmochi-201 S 1979 M-101 M 1979
M-301 M 1980 S-201 S 1980
M-302 M 1981 M-401 M 1981
Calmochi-202 S 1981 M-201 M 1982
L-202 L 1984 Calmochi-101 S 1985
M-202 M 1985 A-301 - 1987
M-102 M 1987 M-203 M 1988
S-101 S 1988 M-103 M 1989
S-301 S 1990 L-203 L 1990
M-204 M 1991 S-102 S 1994
A-201 - 1996 L-204 L 1996
L-205 L 1996 Calmati-201 L 1999
Calhikari-201 M 1999 M-402 M 1999
M-104 M 2000 M-205 M 2000
M-206 M 2003 M-207 M 2005
L-206 L 2006      

3.1 品種命名法

1979年に、Rice Experiment Stationで育成されCCRRFより発表される品種の統一命名法が決定されている。1979年までに発表された品種名はそのまま残され、1979年以降に発表される品種は、米のタイプ(長粒、中粒、短粒等)、熟期の長短、そしてその品種の同系統内での発表順位等を示す文字と数字で表される事となった。

  1. 品種名の始まりはL、M、S及び特殊米を示す文字又は言葉となる。
    L: Long Grain (長粒種)
    M: Medium Grain (中粒種)
    S: Short Grain (短粒種)
    
    特殊米の標示例 :
    A: Aromatic(香り米)
    Calmochi:糯米
    Calhikari:コシヒカリ系品種
    Calmati:バスマティ タイプ
    
  2. 文字の次ぎに熟期を示す1から4までの数字が続く。
    数字         熟期         50%出穂日数  生育期間
    1  :very early maturity(極早生)  90日未満     約125日〜130日
    2  :early maturity(早生)         90〜97日     約130日〜140日
    3  :intermediate(中生)           98〜105日    約150日
    4  :late maturity(晩生)         106日以上     約160日
    
  3. 次ぎに発表(release)順位を示す01から99までの数字が続く。
    この2桁の数字は、同系統の品種の発表順位である。

例えば、M‐202であれば、Mは中粒種(Medium)を意味し、次ぎの数字2は「早生」そして、次ぎの2桁の数字02は、中粒種の早生で1979年以降2番目に発表された品種を意味する。 なお、1948年に発表されたCalroseは、その優れた品位(精米歩留及び食味)より、その後のカリフォルニアにける中粒種の改良及び育種において標準品種的な地位を確保し、品種名が統一された1979年以降もCalroseと同等の品位の中粒種米はCalroseの名称にて消費市場に出回っている。

3.2 Foundation Seed Program

カリフォルニア州では、遺伝的形質が明確であり他品種並びに雑草種子等の混入の無い純正な種籾の量産化と稲作農家への広範な普及を目的としたFoundation Seed Program(原種プログラム)が布かれており、CCRRFとカリフォルニア大学のFoundation Seed and Certification Services(以下FSCSという。)との共同事業として遂行されている。

Rice Experiment Stationは当該プログラムの下、カリフォルニア州で既に栽培されている品種並びに新たに開発・育成された品種の原種(Foundation Seed)の生産と販売を行っている。育種専門家により開発・育成された新品種が品種特性を失わないように維持され、その品種の種子増殖の根源となる種子を原々種(Breeder Seed)といい、この原々種より採取される初代の種子が原種(Foundation Seed)である。Rice Experiment Stationで生産される原種は、原種プログラムの下、カリフォルニア州の種籾生産農場に対してのみ限定販売され、原種生産に掛かる費用の全ては、原種販売売上金で賄われている。

1999年にRice Experiment Stationの172エーカー(約70ha)の原種圃(原種生産を行う圃場)において次の15品種(S-102、M-103、M-104、M-201、M-202、M-204、M-205、M-401、M-402、L-204、L-205、A-201、Clmochi-101、Calhikari‐201、Calmati-201)の原種が生産された。FSCSは種子生産農場の採種圃(種籾を生産する圃場)の検査を始めとし、生産された種子の包装に至るまでを監督し種子の純正を確認する。生産された種籾は更にFSCSのラボ検査を経て初めて認定種子(Certified Seed)として一般の米生産農場に販売される。現在カリフォルニア州で播種されている種籾の90%以上が認定種子といわれる。

3.3品種改良の方向

1976年に矮性(短稈:草丈95cm未満)・多収品種のCalrose76が稲作試験場にて育成されて以来、カリフォルニアにおける米の品種改良は、矮性、早生の多収性品種への転換という方向で進められた。短稈は耐倒伏性及びN肥効果に優れており、単位収量の増加に繋がるとされる。又ワラの発生量が少ない事より、収穫後の稲ワラ処理作業を軽減する効果がある。現在カリフォルニア州で作付けられている品種は、一部の特殊米を除き矮性品種に移行したといわれる。

以上はRice Experiment Stationにおける品種改良の基本的な目標であるが、特定な市場の求める嗜好に対応した品種の育成も、短粒種、中粒種そして長粒種の各種類にて大いに進められている。1999年3月1日に発表された品種:Calihikari-201、Calmati-201、M-402等は、特別な市場向けの品種といえる。

3.4品種説明

Rice Experiment Stationにて育成された品種で、現在カリフォルニア州で作付けられている主な品種及び今後期待される新品種は次のとおりである。

3.4.1短粒種
3.4.2中粒種
3.4.3長粒種
3.4.4新品種

3.5カリフォルニアの日本品種の動向

日本品種は、日本の市場向けに契約栽培されており、1997年より本格的に作付けが始まった。Rice Experiment Stationによる品種別作付面積調査では、1997年にアキタコマチ及びコシヒカリの2品種が夫々5,270エーカー、4,740エーカー作付けられたと推定している。その後作付けは日本側の買付けに相応し大きく伸び、同Stationの調査では1999年のアキタコマチ及びコシヒカリの作付面積は、夫々25,350エーカー/12,100エーカー(合計37,450エーカー)となっている。産地の精米業者は、日本品種(アキタコマチ、コシヒカリ)の1999年の作付面積は合計34,000エーカー、籾生産量で約85,000トンであったが、1999年の日本向けの契約数量が目標を下回ったことに因り、2000年の作付けは大幅に減少しアキタコマチ10,175エーカー、コシヒカリ6,205エーカーと激減した。

1999年のRice Experiment Stationによる試験結果では、アキタコマチ及びコシヒカリは単位収量が、一般の短粒種及び中粒種に比較し低いが、特殊米のM-401よりは良い結果を示している。

3.6米の遺伝子組換え品種

日本への遺伝子組換え作物(Genetically Modified Organisms = GMO)の輸入が1996年9月に初めて許可されて以来、2001年の食品衛生法の一部改正後、新たに安全性審査の手続きを経た遺伝子組み換え食品は、2006年2月現在、ダイズ、ナタネ、トウモロコシ、ジャガイモ、ワタ、テンサイ、アルファルファの7作物、75品種となっている。アメリカでは年々遺伝子組換え作物の栽培が急増しており、USDAの調査によれば、2000年産では、ダイズの作付面積の約54%、トウモロコシで約25%、ワタでは約61%に遺伝子組換え品種が作付けされていた。しかしこれが2005年にはダイズでは作付けの87%、トウモロコシでは約52%、ワタでは約79%にまで伸びている。ダイズの遺伝子組換え品種は耐除草剤の系統であり、トウモロコシは耐害虫の系統、ワタは耐除草剤または耐害虫系統が中心となっている。一般に、大手の農薬・化学薬品会社の持つ種苗会社が研究・開発している遺伝子組換え品種の凡そ60%が、耐除草剤系統の品種と言われる。例えばMonsanto社の開発したRoundup Readyと称される遺伝子組換え作物があるが、これは同社の除草剤Roundup(非選択性の強力な除草剤)に耐性の有る遺伝子組換え作物の総称である。同社のRoundup Ready ダイズは特に有名である。Aventis Crop Science社のLiberty Linkとは、同社の除草剤Liberty(glufosinate)を無効化するバクテリアの遺伝子を作物に組み込んだ耐除草剤の遺伝子組換え作物を意味する。

現在カリフォルニアで注目されている米の遺伝子組換え品種には、Aventis社のLiberty Link 米(M202の遺伝子組換え品種、開発はAventis社の子会社であるAgrEvo社が行った。)と、MonsantoのRoundup Ready米(M202の遺伝子組換え)である。前者は2001年に後者は2003年迄に種子市場に出回る可能性が有ると言われていた。しかし、Aventis社 は同社のStar Linkコーン(遺伝子組換え飼料用コーン、開発は子会社のPlant Genetics Systemsが行った。)の食品への混入問題が発生したこともあり、「遺伝子組換え作物が国際市場で完全に受け入れる状況に成る迄Liberty Link米の種子販売は行わない」と発表しており、Liberty Link米は市場に全く出現していない。両品種とも先に触れたところの耐除草剤品種であり、赤米混入の多い地区(特に南部諸州)には効果的な品種と評されている。ビッグス市のRice Experiment StationにおいてもMonsanto社及びAventis社の依頼により作付け試験が行われているという。
また2004年にはサクラメントのVentria Bioscience社が、栄養補給食品に利用するタンパク質を生成する遺伝子組換えイネの栽培許可をカリフォルニア・ライス委員会に申請した。 ラクトフェリンとリゾチームは、母乳に含まれる天然抗菌物質で、新生児を疾病から守る様々なタンパク質の一部である。この遺伝子組換えイネからは、ラクトフェリンを0.5%、リゾチームを0.6%含有した玄米がつくられる。
同申請は、カリフォルニア・ライス委員会では承認されたものの、その後カリフォルニア州政府、連邦政府からは却下されている。

遺伝子組換え作物は、生産者に受け入れられても国際消費市場で受け入れられるか大きな疑問が残る。そしてアメリカ国内においてもStar Linkスキャンダルの後、遺伝子組換え作物の安全性に対する不安の声が急速に強まっている。この様な状況を背景に、全国的にはUS Rice FederationのGMO Task Forceが、カリフォルニア州ではCalifornia Rice CommissionのBiotechnology Task Force(Research & Technology Committeeのsub-committee)が、遺伝子組換え米の動向を慎重にモニターすると同時に、当該品種が市場に出現した時の対応策を検討している。 カリフォルニア州では、業界自らの手で取引する米の品種、遺伝子組換え品種の混入有無等を顧客に証明していく方針であり、この行為は 2000年に制定された州法「The California Rice Certification Act of 2000」にて認められている。

4. 米の栽培工程

4.1圃場整備

圃場(水田)の整備は先ず稲株/稲藁の処理から始まるといえる。サクラメント平野を中心としたカリフォルニア州における米の収穫期は、平年であれば9月中旬から10月中旬の約1ヶ月といえる。収穫の完了と共に稲株並びに稲藁は、圃場への鋤き込、圃場での焼却又は極小量であるが工業用燃料等で処理されている。圃場での藁焼却がカリフォルニア州における藁の主な処理方法であったが、焼却時に発生する煙による空気汚染が問題化し、1991年に「The Rice Straw Burning Reduction Act of 1991」が定められた。この法によりサクラメント平野における圃場での稲株/稲藁焼却は、1992年より段階的に削減されて来ており、2000年は同法の特別条項により、稲の病害(Stem rot = 小粒菌核病)対策目的としてのみ作付面積の25%の焼却が認められているのみである。圃場での藁焼却又は稲株/稲藁の鋤き込み作業は11月末までに略完了する。冬季は農機具の修理・整備並びに年間の作業管理計画の立案等が主な仕事となる。播種前の圃場整備は、冬季の降雨とも関係するが平年であれば3月上旬から開始される。主な圃場整備作業は、耕土の反転、砕土、レイザー光線を利用しての均平作業、畦整備、施肥、水路整備等である(Table 9)。
サクラメント平野では凡そ150〜250エーカー(60〜100ha)の圃場が1つのブロックとなり、特定の水路又は水源に接続して1つのまとまった水管理単位を形成している。このブロックをランチ(ranch)と称するが、ランチは更に畦によって8〜12エーカー程の小圃場に区画され(この小圃場をベイスン=basin又はチェック=checkと称する。)小圃場毎に水管理が行われる。圃場内での均等な水位の維持と、稲の生育状況に合わせた精微な水位調整(幼苗期の雑草対策、花粉形成期の稲を夜間の低温から守る等)を行う上で、レイザー光線を利用しての精度の高い均平作業が極めて重要な基礎作業の一つとなっている。

4.2播種

カリフォルニア州における播種は、平年であれば4月下旬から5月中旬に実施さる。生産農家は、土地の気象条件、市場条件、播種時期、求める米の質等諸々の条件を基に品種の選択を行う。種籾は播種前に24〜36時間水に浸し、催芽させた後水切り(18〜24時間)をし、冠水圃場に飛行機により直播きされる。水に浸された種籾は、重量が25%程増加するとにより、飛行機より播かれた種子は直ちに沈み土壌への定着がスムースであり、浮遊籾の発生が少なくなるといわれる。播種量はエーカー当たり120〜150ポンド(130〜170kg/ha)であり、苗立ち密度は高くなる。冠水することのメリットは、種籾と幼苗への保温効果と雑草の発育抑制効果であるとされる。

4.3雑草・害虫・肥培管理

播種前の圃場整備の段階で、深耕・耕転により雑草種子を地中深くに埋め込み、雑草の発芽・生育を遅らせることが出来る。また冠水後の水田の水位を管理する事で、ある程度の雑草管理が可能であるが、一般的には州政府により許可された除草剤(thiohencard、propanil、fenoxa prop-ethyl等、商品名としてはAbolish、Super WHAM、Stem80 EDF、Whip等)が使われる。
サクラメント盆地の水田ではbarnyardgrass(野生ヒエの一種)とumbrella sedgeが一般的な雑草と言える。水位の管理による物理的な雑草駆除としては、種籾が出芽した後深水を保ちbarnyardgrassの幼芽を窒息死させ、この深水でも生き残るumbrella sedgeは、稲の幼苗が確実に育ち出した頃、完全に落水して枯死させる方法が有る。有機米栽培ではこの方法が採用されているが、一般の水田では水管理の手間と、稲も枯死させる危険性を含むことより殆ど行われていない。
カリフォルニア州の水田では、rice water weevil(成虫はコクゾウムシと体型が似ている。)とtadpole shrimp(タッドポール・シュリンプ)が重要害虫である。Rice water weevilは成虫が稲の葉に卵を産みつけ、その幼虫が稲の根を喰害する。タッドポール・シュリンプは生育初期の幼苗の根を喰害する。どちらもその被害は直接単位収量に影響を及ぼす。害虫の駆除は農薬による。タッドポール・シュリンプの駆除には硫酸銅(ボルドー液)が使用されている。
施肥は播種前の圃場整備の段階から開始される。リン(P)肥及びカリ(K)肥はサクラメント盆地の水田では重要な肥料である。リン肥料は五酸化リンの形で40〜60ポンド/エーカーを冠水前の圃場に施肥し、カリ肥料(塩化カリ)をやはり冠水前の圃場に60〜120ポンド/エーカー投入する。更に、PHの高いアルカリ土壌や、圃場の均平業行程で表土を失った様な圃場では亜鉛(zinc)肥料を投与する必要がある。亜鉛として2〜12ポンド/エーカーを施肥するのが一般である。窒素(N)肥料は単位収量増加に欠かせない肥料である。矮性品種が普及した大きな一因は、N肥の多投でも倒伏せずN肥料効果が大きい事である。N肥料は稲の生育に合わせ段階的に施肥され、刀状葉(flag leaf)の段階までに120〜150ポンド/エーカー(Nとして)を投与する。籾の播種から稲の開花まで、水管理、病害管理、肥培管理が極めて重要な農作業となる。

4.4収穫

播種後凡そ130日から150日で収穫期を迎えるが、稲が登熟期に入る頃落水し、籾水分が22%前後で収穫となる。カリフォルニアでは9月中旬から10月中旬が収穫期といえる。収穫時期の籾水分を落としすぎると、精米歩留まりを悪くする結果となり、水分が高すぎれば乾燥コストを上げる結果となる。平年の籾からの精米歩留まり(砕米を含む。)は68〜69%といわれ、籾100に対しHead Rice(整粒):55、Broken Rice(砕粒):14程度の割合(Figure1)とされる。精米歩留まり、Head Riceの歩留まり等は、生産地区、品種、収穫時期等で変化する。 乳熟期から完熟期の気象条件が悪い(低温、日照時間不足等)と、澱粉の蓄積が均一でなくなり、不完全な形質の粒が形成され、精米歩留まりを悪くし又砕粒の発生を高める結果となる。
収穫された籾は保管可能な水分レベル(12%〜14%)迄乾燥する必要がある。乾燥及び保管は農家独自の施設、精米所又は籾保管の専門倉庫業者により行われている。カリフォルニアの場合籾生産量の7割以上が倉庫業者により乾燥、保管されているといわれる。

5. 精米及び流通

農場で生産された籾が精米され消費者に渡る流通ルートには、次ぎの2種類に大別される。

  1. 精米工場を持つ精米・販売協同組合(農場が組合員)へ販売依託されるか、
  2. 一般企業の精米業者によって籾が購入され、精米(又は玄米)は卸売り業者又は加工業者に販売される。

1980年代末迄、カリフォルニア産米の7割程が、生産者がメンバーであるRice Growers Association of California(RGA)とFarmers' Rice Cooperative(FRC)の2つの精米販売協同組合により取り扱われていた。しかし乍ら、近年深刻な経営破綻が噂されていたRGAは、遂に2000年11月3日に協同組合としての営業活動を停止するに至った。
RGAは1915年に発足したPacific Rice Growers' Associationを前身に、1920年に生産者の精米販売協同組合として設立された。当時の組合員数は21農家であったという。RGAの全盛期といわれる1970年代には、会員数約1,600、5つの精米所を持ち、カリフォルニア産米の60%を取り扱ったという。しかし、1980年代に入り、籾の国内価格の低迷、減反政策の影響、韓国市場の消滅、更に1970年代末に行った大型設備投資の負担等がRGAの経営に影を落とす結果となった。1986/87米穀年度には赤字決算となり組合員への籾代金の支払いも充分に出来ない状態に成っていたという。1989年に西サクラメントの大型精米工場を手放し、1991年にビッグス市の精米工場を売却した。1993年の日本の緊急輸入以降、RGAも日本向け米に力を入れたが、既に体力が落ちていたRGAは立ち直る事が出来なかった。そして遂に2000年11月3日、1960年代から70年代にかけカリフォルニアにおける精米・販売業界のトップの座を誇ったRGAは、80年の歴史を閉じる事となった。
FRCは当初の名称をFarmers' Rice Growers Co-operativeとして1944年3月に設立された。現在のFRCのメンバー数は約900農場といわれ、また、FRCはメンバー以外の籾も取り扱う事より、FRCのカリフォルニアにおける取扱いシェヤーは約25%といわれ、同州精米・販売業界のトップの座を占めている。サクラメント港に隣接する26エーカー(10.4ha)の敷地に2つの精米施設を持ち、その1つは1982年に建設されたものである。毎時20万ポンド(91トン)の籾を精米・梱包できるコンピューター制御の精米施設である。

5.1精米能力

カリフォルニア州における精米会社の規模を大きく3つに分けると次の通りとなる。詳しくは精米工場リスト:Table 10を参照。

  1. 大規模精米所
  2. 中規模精米所
  3. その他小規模精米所

5.2日本向け米のシッパーTable 11Table12

MA米のシッパーは、日本がMA米の輸入を開始した1995年当時よりその数を増やし、2000年度には6社が取り扱ったが、2005年度のMA米は下記の4社により取扱われている。SBS米についてはTable12を参照。

  1. Connell Rice & Sugar Co.(Connell)
  2. ADM Rice, Inc.
  3. Farmers' Rice Cooperative (FRC)
  4. American Commodity Company

2005年度(2005年4月/2006年3月)の日本向けアメリカ産MA米(全量カリフォルニア産米)の船積実績数量は304,000M/T(前年度実績:298,500M/T)であり、シッパー別の取扱い数量を見ると、Connellが143,000M/Tと全体の47.04%(2004年度:130,000M/T、43.55%)を占め、次いでADMの109,000M/T(35.86%)、FRCの39,000M/T(12.83%)及びACCの13,000M/T(4.28%)となった。

6.カリフォルニア米積み出し港事情

カリフォルニアの米の主力積み出し港と言えば、米の主産地サクラメント平野の南端に位置するサクラメント港である。同港は、サクラメント平野に点在する精米所からの交通の便の良さ、埠頭倉庫の完備、荷役業者の米荷役への慣れ等々他の港に比較し極めて利点が多いといえる。しかし、日本向けMA米の船積みに関しては、シーズン中に日本向け本船が輻輳する事に加え近年の倉庫使用料の値上げ等より、シッパーの間に、サクラメント港だけでなく他港を使用する動きが出て来た。そして現在、日本向けMA米の積み出し港として、サクラメント港、ストックトン港の2港が使用されている。大雑把にいって日本向け積み出し数量は両港で半々となっている。

6.1 サクラメント港(Port of Sacramento, West Sacramento)

サクラメント港は、首都サクラメント市の西側(West Sacramento市)に在り、サンフランシスコ湾よりサクラメント川に通ずる航路を経由し、Golden Gate Bridgeの北東79海里(146km)に位置する内陸港である(1963年開港)。港から伸びるサクラメント本船用水路(Sacramento Ship Channel)は全長47マイル(75km)で水深30フィート(9.1m)といわれる。同港は、アメリカ西海岸唯一の米のバルク積み専用エレベーター(Sacramento Rice Elevator)を有する。袋詰めMA米の船積みに使用されている埠頭倉庫(Transit shed)は、No.2 Wharfに2棟(No.2A及びNo.2B倉庫)、No.7 Wharfに1棟(No.7倉庫)あり、各倉庫約14,000トンの米(袋詰め)を仮置き出来る。日本向け米のシーズン中、日本向け米の荷役を請け負っているステベMarine Terminals Corp.(MTC), Oaklandがサクラメント港とこれら倉庫の使用契約を結んでいる。

6.1.1米荷役関連施設

埠頭倉庫(Transit Shed)

  1. No.2 Wharf
    バース:600フィート(約183m)、水深35フィート(10.7m)
    No.2A,2B倉庫:各86,400平方フィート(8,000平米)x 2棟
    
  2. No.7 Wharf
    バース:600 フィート、水深35フィート
    No.7倉庫:86,400平方フィート x 1棟
    
  3. No.6 Wharf Open Apron
    バース:600フィート、水深35フィート
    
  4. Main entrance channel 水深30フィート(9.1m)

SACRAMENTO RICE ELEVATOR

 
所有主          :サクラメント港
稼動            :1964年
Pier No.1       :600フィート(約183m)
水深            :35フィート
収容能力        :22,000S/T(約20,000M/T)
メインビン 8本 x 2,250 S/T
スタービン 6本 x 225 S/T
スタービン 6本 x 435 S/T
シッピングビン :2本 x 100 S/T
積み込用ベルト  :1本
スパウト        :3ヶ所 計3本
秤              :CARDINAL MODEL 1基
最大秤量 15,000ポンド(約6.8M/T)
最小目盛 10ポンド
平均荷役スピード:500M/T/時間
4,000M/T/シフト
6.1.2袋詰めMA米の本船荷役

袋詰め日本向けMA米は、30kg袋を吊りベルト付きの大袋(スリングバッグ)に42袋づつ詰めた荷姿(スリングバッグ当たり1,260kg)となっている。このスリングバッグがトラックにて精米所より港倉庫に搬入される。本船荷役はフォークリフトにてスリングバッグを船側まで運び、スプレッダにスリングバッグを掛け本船クレーンにて積み込む。スプレッダにはフックが16個(2列x8個)付いたタイプと、18個(2列x9個)付いたタイプの2種類があり、どちらを使用するかは船倉のタイプによる。18袋のスリングバッグは、18 x 30 kg x 42袋=22,680kgを一度に積み込むことになる。1ギャングの時間当たりの平均的荷役能力は、約200〜250M/Tといえる。

6.2ストックトン港 (Port of Stockton, Stockton)

ストックトン港は、サンフランシスコ湾(Golden Gate Bride)より東に本船航路にして75海里(139km)の内陸(サクラメント市より高速道路I-5にて南に約90km)に位置する港である。ストックトン本船用水路(Stockton Deepwater Ship Channel)の水深は、干潮時平均37フィート(35フィートMLLW)、満潮時平均40フィートであり、Sacramento Ship Channelより深い。この為、45,000〜55,000トンクラスの本船運行には支障が無く、満潮時には満載のPanamax‐size本船の出入港も可能である。

同港には本船10隻の接岸スペース(バース数では13)があり、この内ドックサイドに埠頭倉庫(Transit Shed)が有るバースは、Berth 5−6、Berth 7−8、Berth 9であり、合計50万平方フィートといわれる。この他に貨物保管用の倉庫は270万平方フィートのスペースがあり、一般貨物、鉱石、セメント肥料等(Dry bulk)、鋼材等の保管に使用されている。過去に日本の緊急輸入米そして一時MA米輸出に使用された埠頭倉庫は、その後雨漏り問題等が発生したことも有り近年MA米には使用されていない。
ストックトン港は前記した施設に加え、第二次大戦以来アメリカ海軍が使用して来た地区(ストックトン港の西側に隣接するRough and Ready Islandに在り、一般にWest Complexと称される地区)に埠頭、埠頭倉庫及び保管倉庫を有する。
サクラメント港における本船の輻輳、倉庫料の割高感等を背景に、2000年のMA米シーズンになり、Rough and Ready Islandの埠頭倉庫(3棟)が日本向けに使用された。
Stevedoring Services of America(SSA)が港の依頼により倉庫受け入れを行い、シッパー依頼により本船荷役を行っている。

6.2.1 2000年より使用されている施設
埠頭倉庫  :No.17  約13,500トンの米保管が可能。
            No.18  約14,500トンの米保管が可能。
            No.19  約13,000トンの米保管が可能。
            No.20  約14,500トンの米保管が可能。
            No.805 約20,000トンの米保管が可能。(内陸部の倉庫Off Dock)

水深      :No.18及びNo.19倉庫のバース水深は22−25フィート、No.20倉庫のバース水深は30フィート。サクラメント港に比べて浅い。
6.2.2袋詰めMA米の本船荷役

荷役はサクラメント港と同様な方法で行われ、荷役能力もほぼサクラメント港と同じと言える。

第三章 アメリカにおける米の輸出検査

「合衆国穀物規格法(U.S. Grain Standards Act)」にて規定されている穀物の輸出においては、農務省連邦穀物検査局(Federal Grain Inspection Service, USDA以下FGISという。)又は連邦政府より輸出検査の権限を委譲されている州政府による強制検査を受けねばならない。一方、米は同穀物規格法で規定された穀物には含まれておらず、その輸出に際し、これら政府機関による強制検査を受けることはない。米の輸出検査は常に売買契約条件に従い、シッパー又はバイヤーの依頼により実施されものである。売買契約で政府機関による米の輸出検査が要求されている場合、その検査を実施する者は、FGIS又は米の輸出検査の権限を与えられた州政府あるいは指定民間検査機関であり、検査は「合衆国農業市場法1946(The Agricultural Marketing Act of 1946)」の規定に従って実施される。アメリカ米の規格・等級は同法律の下で制定され、米の検査手順も同法の下でFGISにより定められている。尚、売買契約の条件で民間検査機関を指定し米の輸出検査を実施させる事も可能であることから、OMICの現地法人であるOMIC U.S.A., INC., Californiaがシッパーより指定されることが多くなっている。
また、カリフォルニア州産農産物の検査業務は、長年同州政府機関であるCalifornia Department of Food and Agriculture (CDFA) がFGISの上部門である農務省穀物検査食肉流通局(Grain Inspection, Packers and Stockyards Administration, USDA. 以下GIPSAという。)の指定を受けてofficial inspection and weighing及びofficial export servicesなどの公的検査業務を実施してきた。しかし、CDFAが2005年5月末を以ってGIPSAの指定を返上し、公的検査業務から撤退することとなった。
このためGIPSAはCDFAに代わる指定検査機関の公募を民間検査機関を対象に行い、OMICは同州の関係業界の強い要請もあり、新たにOMIC全額出資でCalifornia Agri Inspection Co., Ltd. (CAIC) を設立して、申請書を提出した。同年5月にCAICはGIPSAの指定を受け、現在FGISの監督の下、米及び穀物の公的検査を実施している。

1. 日本向け米の輸出検査Figure 2

アメリカからの日本向け米の輸出においては、シッパー/バイヤー間の売買契約にて積地における公的検査機関等による検査が条件となっており、カリフォルニア州ではシッパー依頼により、OMIC或いは連邦政府より輸出検査の権限を与えられているCAICが輸出検査を実施している。以下、カリフォルニア州における米の輸出検査について概略を述べる。

主な輸出検査の内容

1.1 一般検査

MA米一般検査

  1. 袋物
    袋詰め米の検査は、精米所においてパッキング時に実施されるのが通常の形態であり、一定の間隔をもってサンプリング、品質検査、重量検査、包装検査等が検査員により適宜実施される。 概ね100トン毎に代表サンプル(サブロットサンプル)が作成され、精米所にて品位格付が行われ当該ロットの合否が決定される。
    契約によってスリングバッグあるいはフレコンバッグが使用されているが、1袋のスリングバッグには正味30kgの袋が42袋ずつ詰められている。フレコンバッグは正味1000kgである。スリングバッグ及びフレコンバッグには、検査員によりロットのID No.(IP Lot No.)、パッキング年月日、作業シフトを表す文字(Day ShiftであればD、SwingであればS、GraveyardであればG)がマーキングされる。
    船積み終了後、採取したサブロットサンプルは検査事務所にて重量按分で合成され、船積代表サンプル(Shipment Composite Sample、以下SCSという。)が作成される。
    最終的な品位は、サブロット毎の格付結果の重量按分或いはSCSの品位格付によって決定される。 OMICはバイヤー依頼により、日本の着検規格に基づきSCSの品位格付も行い、最終的な品質を確認している。
  2. バルク物
    カリフォルニア米のバルク積みはSacramento Rice Elevatorで行われ、輸出検査は同エレベーターでの本船荷役時に実施される。また、通常シッパー依頼により、輸出検査の前に貨物のエレベーターへの受け入れ時或いは精米所出荷時に事前検査(サンプリング、生存虫のチェック、品位格付)が実施される。採取サンプルはトラック数台毎に纏められ、検査事務所にて品位格付される。
    輸出検査(品質/重量検査)は、船積みと平行して行われる。貨物は自動ホッパースケールで計量され、検査員により確認される。また、サンプルは船積み用ベルト上より自動サンプラーで採取される。船積後SCSが作成され、検査事務所にて最終的な品位格付が行われる。
  3. 上述の他、OMICはバイヤーからの依頼を受け、CAICの行う一連の輸出検査業務に適宜立会い、契約に合致した品質・荷姿・重量の米が確実に船積みされることを確認している。

SBS米一般検査

SBS米については、品質検査(サンプリング、品位格付)、重量検査、包装検査、空コンテナーの清掃/乾燥検査及びコンテナー詰め立会い等を実施している。SBS米の輸出検査(品質/重量/包装検査)は通常精米所においてパッキング時に実施されている。品質検査用サンプルはパッキング時に採取され、一定の間隔をもって精米所にて品位格付が行われ、当該ロットの合否が決定される。SCSの採取は、積地安全性が確認された後、パッキング時或いはコンテナー詰めの直前に行われる。SBS米は全てコンテナーにより輸出されており、検査に合格した米は、検査員の立会いの下でコンテナー詰めされる。コンテナー詰め前には検査員によりコンテナー内の清掃や乾燥状況が確認され、コンテナー詰めの後にはロットの同一性を保持確認する目的で、当該コンテナーは立会検査員によりシールされる。

1.2 本船船倉検査及び本船荷役立会い

本船が接岸した後、荷役開始前に本船船倉検査が行われ、各船倉内やハッチカバーが貨物を積むのに適しているかを確認している。通常乾燥状況、前航貨物の残渣、ねずみや虫、異臭、本船構造に起因する高熱部位、水の浸入の恐れがないか等について検査を実施している。
本船への貨物の積み込みに際しては、貨物の汚れや破れがないか、契約条件に適合した荷姿で貨物が積み込まれているかどうか等について随時確認される。特に冬場は雨季であるため、降雨による水濡れダメージや汚れが起こらないよう慎重に対応することが要求される。さらに港頭倉庫に保管されている貨物についても、荷崩れや汚れ、破れ等積み込みに不適当な貨物がないか適宜確認される。

1.3 ロット(荷口)の同一性保持の確認検査(Identity Preserved Inspection)

FGISの定めるロットの同一性保持の検査(Identity Preserved Inspection、以下 IPIという。)とは、輸出検査(品質/重量/包装検査)に合格したロットと船積みされたロットが同一である事の確認検査を意味するが、一方、日本向け外国産米は、日本の法に従う安全性検査(積地及び着地における残留農薬検査)を受ける事が義務付けられており、日本向け米では積地安全性検査用サンプル(Pre-shipment sample、以下PSSという。)採取から船積みに至るロットのIPIが必須条件となる。
PSSは通常原料となる籾ロットより採取される。この為産地倉庫(サイロ)の籾ロット(サプライヤー或いは検査機関によりロットのID No.が付けられる。)から製品に加工され精米所での輸出検査を受ける迄の間のロットの流れが、サプライヤー又はシッパーの責任で記録・管理されており、OMICはこれらの記録を基にロットの同一性保持の確認を行っている。
また、精米所にてマーキングされた貨物の港頭倉庫での受け入れ時、及び本船荷役中には、検査員によりマーキングの内容並びに貨物の状況(包装の状態、袋数等)が検査され、貨物が検査合格時点と同じである事が確認される。
MA米においては、OMICはPSSのサンプリングから本船荷役まで、さらにCAICのIPIを含む一連の検査業務に適宜立会いを行い、ロットの同一性保持を確認している。
SBS米においても、積地安全性検査からコンテナー詰めまでのロット同一性保持の目的より、シッパー又はサプライヤーはOMIC及びCAICのPSSのサンプリングから、コンテナー詰め迄のロットの流れを正確に記録し、OMICがその記録や検査内容を基にロットの同一性保持を確認している。

2. OMICのアメリカにおける残留農薬検査等

2.1 安全性検査

日本へ輸入される外国産米は、次の要領に基づき、船積み前に採取されたサンプルの安全性検査(以下「積地安全性検査」という。)及び船積みされる現品から採取したサンプルの安全性検査(以下「着地安全性検査」という。)が義務付けられている。

また、着地安全性検査において分析する項目については、下記の契約書に基づき付保を目的とし、船積み前に採取したサンプルについて検査(以下「付保用検査」という。)することとなっている。

安全性検査品目は、「要領」に基づく528品目の残留農薬等と、「契約書」に基づく真菌の合計529品目である。

2.1.1積地安全性検査用サンプルの採取

PSSは、シッパーの依頼によりOMICもしくはCAICが採取する。1個のPSSが代表するロットの大きさは、「手引き」において、概ね1000トン以上(契約された米の形態ベース)の均一なロットと定められている。均一なロットとは、同一形態で同一の倉庫/サイロに保管されているロットを意味する。

SBS米における1個のPSSが代表するロットの大きさは、「手引き」において原則として概ね1000M/T(契約された米の形態ベース)とされ、MA米同様当該ロットは同一形態で同一倉庫(サイロ)に保管されたロットでなければならない。

2.1.2 積地安全性検査

積地安全性検査については、「要領」で定められた222品目の検査が必須となっている。これらの検査については厚生労働大臣登録検査機関が実施することとなっており、OMICはPSSを入手し、指定の検査機関に送付している。
また、着地安全性検査と同じ306品目の付保用検査を実施することとなっており、厚生労働省が作成した「輸出国公的検査機関リスト」に登録されているOMIC USA Inc.(アメリカ合衆国オレゴン州ポートランド市)がこの分析を15営業日以内で実施している。
さらに、「契約書」において検査実施が義務付けられている真菌(Penicillium citreo-viride、Penicillium citrinum、penicillium islandicum及びAspergillus flavus)についても付保用検査と同時にOMIC USA Inc.が行い、15営業日以内で分析を実施している。

2.1.3 着地安全性検査

着地安全性検査については「要領」で定められた306品目の分析が必須となっている。MA米の着地安全性検査は、本邦の厚生労働大臣登録検査機関にて実施される。OMICは契約毎のSCSを入手し、指定の検査機関に送付している。
SBS米については、厚生労働省が作成した「輸出国公的検査機関リスト」に登録された検査機関による検査をもって、当該検査がなされたものとすることができることから、SCSをOMIC USA Inc.に送付して実施している。

2.2 特殊検査

OMICはSBS米を対象として、GIPSA指定検査機関が実施しない特殊な検査並びにその証明を実施している。

2.2.1 品種鑑定及び品種証明

SBS米について、品種鑑定及び品種証明を依頼により実施している。OMICの品種証明は、当初はアーカンソー州産コシヒカリに限って、種子から輸出米形態までのロットの同一性の追跡調査をベースとしたソフト的な手法で始まった。1999年10月からは、OMIC USA Inc.のラボがRAPD法(Random Amplified Ploymorphic DNA法)によるDNAの分析を導入、更に2000年10月より新たに開発されたSSR法(Simple Sequence Repeat)の採用と最新の分析機器の導入により、カリフォルニア州産米19品種及び日本産米74品種について品種鑑定及び証明が可能となっている。

2.2.2 年産証明

シッパーの準備する帳票(原料米の買付けから輸出米の加工・包装に至るまでの正確な記録を含む。)等をベースにした原料米から製品迄の追跡調査及び理化学検査により年産証明を行う。

2.2.3 その他

等、OMICは高度な技術と経験を必要とする特殊検査とその証明を積地にて実施している。

3. 米の規格・基準

アメリカ米の規格・基準は、先に触れた「合衆国農業市場法1946」の下で、「合衆国米穀規格(United States Standards for Rice)」として制定されている。米の形態(籾=Rough rice、玄米=Brown rice for processing及び精米=Milled rice)別に1等から等級外迄の各付け基準が定められている。更に、籾、玄米そして精米夫々に特殊等級(Special grade)の規定があり、例えば黒穂病米(Smutty rice)、パーボイルドライス(Parboiled rice)、もち米(Glutinous rice)、香米(Aromatic rice)等が此れに相当し、特殊等級毎にその基準が定められている。
加えて、粒長/粒幅の比率により3つのタイプ(長粒 = Long grain、中粒 = Medium grain、短粒 = Short grain)が規定されており、これらタイプの混合率に従い、籾と玄米には4つのクラス(例:籾 Long grain rough rice、Medium grain rough rice、Short grain rough rice及びMixed grain rough rice)が定められている。精米には、籾、玄米と同様に完全粒のタイプによる4つのクラス(Long、Medium、Short及びMixed milled rice)の他、砕精米について砕粒の大きさにより3つのクラス(Second Head Milled Rice、Screenings Milled Rice、Brewers Milled Rice)の分類があり、合計7つの精米クラスが規定されている。
等級・銘柄の表示方法は次の様に規定されている。
先ず、U.S.の語が記載され、続いて等級を表す数字が示される。等級を示す数字の後に検査依頼者の要求により "or better"の語句が付くケースが有る。等級外の場合は"Sample Grade"の語句となる。次にクラス名(例:Medium Grain Milled Rice)そして特殊等級名(例:Glutinous)が付く。
例:U.S. NO.2 OR BETTER MEDIUM GRAIN MILLED RICE,GULUTINOUS
アメリカ米規格と日本の外国産米輸入規格(着検規格)との間には、格付項目毎に差異が認められる。中粒種精米(US No.1; 着険1等級)を例に取り、その一部を下記する。

アメリカの米規格と日本の外国産米の輸入規格(着検規格)の比較
  US規格 日本規格
水分(Moisture) 130℃−1時間Air-Oven乾燥法が基本法であり、FGISにより承認された器具(GAC2100 Moisture Meter及びこれと同等の結果の得られる器具)にて測定される。精米所においてはGAC2100を整備してなく、未だMotomcoを使用しているところが多い。最高限度 15.0% 135℃−3時間Air-Oven乾燥法。最高限度 15.0%
籾(Paddy) 籾の完全粒又は砕粒、玄米、並びに精米の完全粒又は砕粒で1/8以上が籾殻で覆われた粒。最高限度 種子及び熱損粒と合わせて(単一又は合計で) 2粒/500gram 規定なし(植物防疫上は混入してはならない。)
熱損粒 加熱により著しく変色した米の完全粒又は砕粒、及び通常精米中のパーボイルドライス 。その変色の程度は、FGIS標準品スライドの色と同程度かそれ以上。最高限度 籾及び種子と合わせて(単一又は合計で)2粒/500gram、不適合種子と合わせて(単一又は合計で) 1粒/500gram 規定なし(着色粒に含まれる。)
異物(Foreign matter) 米以外の物質及び種子、並びに米穀由来の籾殻、穎及び糠。最高限度 0.1% 2号篩(篩目矩形1.5mm)下の全ての物質及び、同篩上の米以外の物質。最高限度計0.1%、内ひるがお科植物種子 0.009%、石2箇/1kg、土砂0.01%、種子 5粒/1kg
赤米及び被害粒 赤米とは赤色糠層のある米の完全粒及び砕粒。被害粒とは、水、虫、熱、又はその他の原因で著しく変色又は損傷を受けた米の完全粒及び砕粒、並びに通常精米中のパーボイルドライス。熱損粒は被害粒に含めない。最高限度 赤米及び被害粒(単一又は合計で) 0.5%  
赤条粒   表面に赤色又は赤紫色の糠層が目立つ粒。程度は赤条の長さの合計が粒の長さの2倍以上ある粒。最高限度  0%
被害粒   虫、水、熱、かび、菌その他の原因によって損傷を受けた粒(虫害粒、斑点粒、黒点粒、汚損粒、変質粒、生理障害粒、着色粒等)。着色粒とは表面が黄色、黄褐色又は茶色に着色した粒。最高限度 計1%、内着色粒  0.5%
白墨質粒 体積の1/2以上が白墨質である米の完全粒及び砕粒。最高限度 2.0% 体積の3/4以上が白墨質である粒。 最高限度 1%
砕粒 No.6篩(丸目打抜き篩、計0.0938インチ=約2.38mm)下の砕粒及び完全粒の長さの3/4未満の砕粒(想定法による)。最高限度 計4.0%、内No.6篩下の砕粒0.1% 小砕粒とは2号篩(篩目1.5mm)の上に残り、1号篩(篩目1.7mm)を通過する米粒。最高限度0.1%。大砕粒とは1号篩の上に残り、且つ完全粒の2/3未満の米粒(無作為に選んだ30粒の平均粒長を基に選別)。最高限度4%
他銘柄粒 長粒種及び短粒種の完全粒、並びに長粒種の砕粒。最高限度1.0% 他の種類若しくは銘柄に属する精米粒又は玄米粒。長粒種、短粒種、玄米及びもち米が他銘柄粒に含まれる。最高限度1%
その他規定 黒穂病臭、酸敗臭又は熱を持たない米、商業価値を損なうような異臭のない米、2匹以上の穀象虫又はその他の虫、虫の巣及び廃物の存在しない米、又はその他の理由で著しく低品位な米でないこと。 異臭のない米。

第四章米産業に関連する諸団体

1. USA Rice Federation

USA Rice Federationは、アメリカの米生産者、精米業者及び関連業者等に代わりアメリカ産米の国内及び海外市場での販売及び消費拡大の為のプログラムを立案しそれを実践する団体である。1994年にアメリカの米産業界を代表する三つの全国組織(USA Rice Council、U.S. Rice Producers' Groupそして Rice Miller' Association)が、一つの傘の下でアメリカ米産業界の利益の為に活動する組織として創立された。ワシントンD.C.に本部を置き、アーカンソー州スタットガート市、ルイジアナ州キンダー市、そしてドイツのハンブルグ市に事務所を持つ。また、各国に代表事務所を置き、アメリカ米販売促進の活動を行っている。

2. Rice Millers' Association (RMA)

RMA(全米精米業者協会)は、1899年に初期の名前をLouisiana and Texas Rice Millers and Distributors Association( 1912年にRice Millers' Associationと改名)として発足した米産業界で最も歴史のある団体である。RMAの正会員並びに会の運営役員は全て精米業者であるが、国内外の多岐に亘る米産業関連業種から数多くの会社が準会員として加盟している。RMAは精米工業会を代表し連邦政府、州政府そして諸外国政府等と緊密な関係を保ち、精米工業会の利益の為に広範な活動を行っている。更にアメリカの米産業界に関連した情報の収集と提供を行っている。

3. California Rice Commission

1999年9月、California Rice Industry AssociationとCalifornia Rice Promotion Boardが合併し、California Rice Commission(以下CRCという。)が発足した。CRCのBoard Membersは、精米加工・販売業者(Handlers)と生産者(Producers)とで構成され、構成比は半々となっており、カリフォルニア米産業界を代表する組織といえる。CRCの活動資金はHandlersとProducersより徴収される賦課金により賄われ、その賦課額は両者同額のUS$0.03675/CWT(籾)となっている。また、1994年より商業ベース上重要とされる23品種について、種子販売会社がこれらの種子を販売する際にはUS$0.33/CWTの賦課金を収めることになっている。CRCには7つの委員会(Committee)があり、米に関する政策につき州政府への協力及び働きかけ、カリフォルニア産米の国内外におけるプロモーション活動、GMO対策、品質対策、環境保全対策等を行っている。更に、US Rice Federationに多額な資金を供出し、双方タイアップした形のプロモーション活動も行っている。

CRCの7つの委員会(Committees)

4. California Cooperative Rice Research Foundation, Inc. (CCRRF)

1952年、サクラメント・バレー穀物協会(Sacramento Valley Grain Association)を解消発展させカリフォルニアの米生産農家を主体メンバーとした米の研究財団法人California Cooperative Rice Research Foundation, Inc.(以下CCRRFという。)が発足した。以後Rice Experiment Stationの運営は穀物協会からCCRRFに移行した。Rice Experiment Stationの年間予算の85%は後に述べるCalifornia Rice Research Boardより受ける研究基金であり、残り15%はRice Experiment Stationが生産する原種(Foundation Seed)の売上金で賄われている。現在CCRRF(Rice Experiment Station)が所有する土地は482エーカー(195 ha)であり、内172エーカー(70 ha)が原種圃として原種(Foundation Seed)の生産に使われている。CCRRFの主たる活動目標は、高収量・高品質(精米歩留まり及び食味)の品種の開発であり、第二にカリフォルニア大学(Davis)並びに農務省の行うカリフォルニア米の耕種技術(整地、肥培管理、病虫害対策、雑草処理、水管理等)に関する研究に対し土地、資材等を提供し援助することである。

5. California Rice Research Board (CRRB)

1969年9月、カリフォルニア州における米生産農家の79%の賛成を以って、カリフォルニア市場法 1937(California Marketing Act 1937)の下で米のマーケティング・オーダー(Rice Research Marketing Order)が成立し、カリフォルニア州における米に関する研究基金として全ての米生産農家より賦課金が徴収されることなり、同時にマーケティング・オーダーの下でCalifornia Rice Research Board(カリフォルニアの全ての米生産農家がメンバー、以下CRRBという。)が設置された。

CRRBはカリフォルニア食糧農業局(California Department of Food and Agriculture)の監督下で、米の品種改良/耕種技術等に関する広範な研究プログラムを設定し、米生産農家より徴収する賦課金をその研究の為に運用する権限が与えられている。賦課金は毎年米生産農家が売却した籾数量に対して賦課され、2.5セント/CWT(籾)でスタートし、現在5セント/CWTとなっている。徴収された賦課金は、CRRBの設定した米研究プログラムに従い、CRRBよりCCRRF(Rice Experiment Station)、カリフォルニア大学(University of California, Davis)、農務省並びにその他研究機関に研究基金として割当てられる。
CRRBが発足した1969年以降カリフォルニアにおける米の研究資金の基盤が確立したことにより、米産業界の求める広範な米に関する研究が勢力的に進められている。その中にあって特に著しい成果をあげているのが、優良品種の開発であり、1969年より今日までにRice Experiment Stationにて育成されCCRRFより一般に公開された品種は39品種を数える。

第五章 日本のミニマム アクセス米輸入

GATTウルグアイ・ラウンド交渉の合意事項に従う日本の米輸入は、1995年度(1995年4月1日〜1996年3月31日)より開始され、2000年度を以って一区切りついたと言える。2001年度以降のミニマム アクセス(最低輸入枠)は、2000年度の数量を基準とし世界貿易機関(World Trade Organization=WTO)にて協議決定される。日本は1999年度より米の関税化を受け入れたことより、1999年度以降のミニマム アクセスの増加幅が軽減され、1999年度の最低輸入義務は国内消費量(ウルグアイ・ラウンドの基準期間である1986年〜1988年の平均)の6.8%、2000年度は7.2%(玄米換算量:767,000M/T)と成った。関税化猶予による「特例措置」を継続していれば、2000年度のミニマム アクセスは国内消費量の8.0%(玄米換算量 :852,000M/T)である。
なお、ミニマム アクセスには一般輸入枠と売買同時入札枠(Simultaneous Buying and Selling = SBS)とが有るが、2001年度から2005年度の一般輸入米(以下MA米という。)とSBS米の輸入量(農林水産省総合食料局の入札結果)は(Table 13)の通りである。2005年度ではアメリカ産米は全輸入量の47.4%を占め、その内訳はMA米321,894M/T(全体の52.5%)、SBS米17,894M/T(シェアー17.9%)となっている。アメリカからのMA米は当初より殆どがカリフォルニア産米である。日本は今や世界一のジャポニカ・タイプ米の輸入国であり、カリフォルニア米産業界にとり最も重要な顧客と成っている。

第六章1996年農業法

日本がGATTウルグアイ・ラウンドの合意事項に従い米の輸入を開始した翌年、アメリカにおいては1996年農業改善・改革法(1996 Federal Agriculture Improvement and Reform Act、以下1996農業法という。)が制定された。1996年農業法の制定によって、それまで実施されていた生産調整(減反政策)と所得保障のため市場価格の変動に応じて支払われていた不足払い制度(市場価格が定められた目標価格を下回る場合、不足払いとして補助金を支払う制度)が廃止され、新たに価格変動に関係なく一定額の助成金を支払う(decoupled payment)制度が導入され、政府の補助金を計画的に削減する方向が打ち出された。この補助金は1996/97年度から2002/3年度までの7年間につき年度毎の額が予め決められており、米においては1996/97年度がUS$2.79/CWT(籾)、その後毎年変化し2001/02年度は$2.12/CWT、7年目の2002/03年度は$2.06/CWTと定められている。この助成金は、当該プログラムに参加した農家の契約農地面積(プログラム参加農地面積)とその農地の歴史的生産量を基礎に計算され、その農地に稲の作付けを行おうが、他作物(野菜、果実を除く。)を作付けようが、又は休耕地としようが支払われるもので、柔軟的生産契約払い(Production Flexibility Contract Payment = PFCP)と称される。
輸出拡大政策や農家へのマーケティング・ローン(融資制度)は、1950年農業法を引き継ぐ型で残されている。米のローン・レート(融資価格)は、1996年度より2002年度までの7年間を通しUS$6.50/CWT(籾)と定められているが、米のタイプ(長・中・短)毎の精米歩留まり等で調整され、中粒種のローン・レートは凡そ$6.15/CWT前後で推移している。プログラム参加農家は米を担保として政府(商品金融公社、Commodity Credit Corporation = CCC)よりローン・レイトによる融資を受けることが出来るが、融資の返済に当たっては、ワールド・マーケット・プライス(農務省が計算し毎週発表する。)がローン・レイトを下回る場合ワールド・マーケット・プライスにて返済することが出来る(marketing loan gain = MLG)。
農家は融資を受ける代わりに、ローン・レイトとワールド・マーケット・プライスの差額を融資不足払い(loan deficiency payment = LDP)として受け取ることも出来る。近年の農務省発表によるワールド・マーケット・プライスの推移を見ると(Table 14)、1999年8月以来ワールド・プライスはローン・レイトを下回っている。ローン・レート、ワールド・マーケット・プライス、MLG及びLDPは毎週農務省より発表される。
1996年農業法は減反政策及び所得保証の不足払い制度を廃止することにより、生産農家に生産拡大の機会(自由)を与え、同時に政府の補助金に依存せず生産者独自の経営努力と判断により農業経営を実施すること求めたと言われている。即ち、米生産の国内自由化であり、生産効率の悪い農家は生産を止め前線から退くか他の作物への転換を図ることとになり、一方生産効率の優れた農家は生産を維持し更に拡大することが可能となる。
農家は米を全く作付けしなくてもPFCPとして既に決定されている額が貰えるため、農家が作付け面積を決定する際にとりわけ注目するのは市場価格の見通しと生産コストである。生産コストが政府の保証する籾価格(籾のローン・レート)を上回るような非効率的な農家は、市場価格が生産コストより高くなると予想されない限り生産を縮小するか又は稲作を止め他の作物に転換することになろう。一方、単位重量当りの生産コストがローン・レートを下回る効率の良い農家は、市場価格が低迷する中でも作付けを増やすことが可能となる。
マーケッテイング・ローン制度の下では、単位収量を高め単位当りの生産コストを引下げることが農家の経営戦略として極めて重要な課題となる。
1997年及び2002年の合衆国農業センサスより稲作農場数(規模別並びに州別)を参考資料としてTable 15 及びTable 16に纏めている。
尚、2002年5月13日にマラソン審議となっていた2002-07年の農業法(一般にFarm Billと称される。正式名:Farm Security and Rural Investment Act of 2002)にブッシュ大統領が署名をした。この新農業法は6年間の時限立法であるのは従来通りである。当初6年間の補助金積み増し額は450億ドルと試算されていたが、最終的に凡そ517億に膨らむ見通しとなった。農家への損失補てんを補助金で行えるようにしたのが特徴と言われる。アメリカの農業の保護主義が強まったと言える。同新法の詳細は農務省のホームページに掲載されている。

参考資料 リスト

カリフォルニア米事情の作成に当り、次の資料を参考にした。

添付資料 (Figures & Tables)

  1. Figure 1: Milling Yields of Rough Rice (California)
  2. Figure 2: カリフォルニアMA米の輸出検査の流れ
  3. Table 1: Weights, Measures, and Conversion Factor
  4. Table 2: World rice supply and utilization
  5. Table 3: World rice trade (milled basis)
  6. Table 4: Rice Area, Yield, and Production
  7. Table 5: U.S. milled rice distribution patterns
  8. Table 6: State and U.S. rice production by class
  9. Table 7: State and U.S. rice area planted, by class
  10. Table 8-1: California Rice Acreage by Variety 1997-2000
  11. Table 8-2: 同 2001/2002
  12. Tabel 8-3: 同 2002/2003
  13. Tabel 8-4: 同 2003/2004
  14. Table 9:サクラメント平野の平均的稲作年間作業暦
  15. Table 10:Rice Mills List
  16. Table 11:MA Rice Shippers List
  17. Table 12:SBS Rice Shippers List
  18. Table 13:年度別・MA一般輸入及びSBS米テンダー結果
  19. Table 14:USAD calculated World Market Price (1999/00 - 2001/02)
  20. Table 15:Farms Growing Rice: Number, Acres, Production and Yield
  21. Table 16:Farms Growing Rice by State: Number, and Average Size
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